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推し活の支出がゲーム2.6倍・アニメ2.0倍に急増、お金の流れが変える市場と企業の打ち手

OSHIKATSU / FIELD NOTE

推し活の支出がゲーム2.6倍・アニメ2.0倍に急増、お金の流れが変える市場と企業の打ち手

インテージの調査で推し活の支出額がゲーム2.6倍、アニメ2.0倍に膨らんだ。熱量の高まりだけでは説明できない「払う場所」の増加に注目し、企業が取るべき打ち手と注意点を解説する。

ニュースの概要

マーケティング調査大手のインテージが、推し活に使うお金が大きく増えているとする調査結果を示した。ジャンル別に見ると、ゲームの支出額は2.6倍、アニメは2.0倍に膨らんだという。推し活とは、好きな人物やキャラクター、作品を応援するために時間とお金を使う行動を指す。かつては一部の熱心なファンの趣味とみられていたが、数字の上では、いまや消費全体を動かす存在になりつつある。注目したいのは、人数の増加だけでなく、一人あたりの使い方が変わった可能性である。グッズ、イベント、課金、配信への投げ銭など、お金の出口が増えたことが背景にあると考えられる。

引用元: 推し活「支出額」急増 ゲーム2.6倍、アニメ2.0倍に(株式会社インテージ)

分析・見解

倍率の裏にあるのは、熱量より「払う場所」の増加

倍率だけを見ると、ファンの熱が急に高まったように映る。だが私は、熱量そのものより、お金を払える場所が増えたことの影響が大きいとみる。ゲームには、課金やイベント限定アイテム、配信者への投げ銭など、日常の中で少額を何度も払う仕組みがある。アニメも、見逃し配信が定着した上で、グッズ、コラボカフェ、劇場版、聖地巡礼と、作品の外に支払いの出口が広がった。

購買データを扱う調査の価値は、何にいくら使ったかを実額で追える点にある。アンケートで「好きだ」と答える声より、財布の動きのほうが正直である。

同じ推し活でも、ゲームは「継続型」、アニメは「節目型」

ゲームは、毎月の課金や期間限定イベントが支出を積み上げる継続型である。新キャラクターの登場日に支出が集中するなど、山も作りやすい。一方、アニメは新作の放送、映画の公開、イベントの開催といった節目に合わせて、まとまった額が動く節目型といえる。2.6倍と2.0倍の差は、こうしたお金の動き方の違いを映しているとも読める。

ただし、元の金額が違えば倍率の意味も変わる。倍率は成長の勢いを示すが、市場の大きさそのものは示さない。この点は読み違えやすいので、数字を見るときは必ず元の規模とセットで考えたい。

昔のファン消費との違いは、応援が「見える」ようになったこと

かつてアイドルのCDを複数枚買う行為は、応援の量を売上順位で示す手段だった。いまはSNS、配信のコメント欄、ランキング、投票機能が、応援の量や熱を本人にも仲間にも見えるようにしている。見えるから、払う意味が生まれる。

海外のK-POPでも、アルバムの複数購入やファンクラブ会費が大きな市場になった。日本の推し活も、その流れと地続きである。支出が増えたのは、財布のひもが緩んだというより、応援が数字で返ってくる仕組みが整ったためだと考えられる。

増え続けるかは「家計の余白」と信頼次第

物価高の中でも推し活にお金が回っているなら、他の支出を抑えてでも優先している人が多いことになる。これは強さであると同時に、危うさでもある。推し活は食費や日用品と違い、やめようと思えばやめられる支出だ。給与や景気が崩れれば、急に冷えるおそれがある。

また、課金の使いすぎが社会問題として大きくなれば、規制や業界の自主ルールが強まる可能性もある。成長が続くかどうかは、ファンが無理なく払える設計を事業者が保てるかにかかっている。

ビジネスへの影響

売る側は「一度きりの販売」から「応援の継続」へ設計を変える

推し活の支出が伸びている分野では、商品を一度売って終わりにする発想は弱くなる。ファンが求めているのは、モノそのものより「応援に参加している実感」である。たとえば、購入者だけが見られる制作の裏話、名前が残る参加型企画、限定の投票権などは、価格以上の価値になりやすい。自社の商品に応援の入り口を一つ足せないか、まず考えてみてほしい。

小さな会社でも使える、市場への入り方

大手のようにキャラクターの権利を持たなくても、推し活の周辺には需要がある。遠征の宿や移動、グッズの保管や持ち運び、イベント後の食事、写真の整理や印刷などだ。ここで有効なのは、推し活をしている人の一日の流れを書き出し、困りごとを探す方法である。ゲーム型なら毎日の隙間時間、アニメ型なら節目の前後に、需要が集中する。自社の強みが重なる場面を一つ選び、小さく試すのが現実的である。

使いすぎを防ぐ配慮が、長期の信頼につながる

支出が急に増える市場では、短期の売上を追いすぎると反発を招く。上限額の表示、購入履歴の見やすさ、未成年への配慮といった仕組みは、コストではなく信頼への投資である。ファンは一度離れると戻りにくい。数字が伸びているいまこそ、無理のない設計を示した企業が、数年後も選ばれ続けるだろう。

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