ニュースの概要
静岡県藤枝市が、アイドルやキャラクター、地域などを応援する「推し活」を地域づくりに生かすため、推し活協議会を立ち上げました。首都圏の企業とも手を組み、推し活をきっかけにした副業や小さな事業のモデルを作る計画です。狙いは、藤枝市に継続して関わる人、いわゆる関係人口を増やし、将来の二地域居住にもつなげることにあります。イベントに人を呼んで終わりにせず、参加者が現地で活動し、仕事や交流が生まれる流れを設計する点が特徴です。自治体が推し活を単なる消費の話ではなく、人と地域の関係づくりの手段として扱い始めた動きといえます。
引用元: 藤枝市が「推し活協議会」を設立、関係人口と二地域居住の創出を目指す(Travel Voice / Yahoo!ニュース)
分析・見解
観光誘致ではなく、関わり続ける人を増やす発想
従来の聖地巡礼型の誘致は、訪問して消費して帰るまでが一区切りでした。来訪者数は伸びても、翌年も来る保証はありません。作品の人気が落ちれば客足も細ります。
藤枝市の協議会が違うのは、訪れた後の「役割」を用意しようとしている点です。推しを応援する行為そのものを、地域での活動や仕事に変えられれば、熱量は一過性の消費で終わらず、継続的な関わりになります。
なぜ推し活は二地域居住の入口になりうるのか
推し活の参加者は、遠方でも交通費と時間をかけて通うことに慣れています。年に数回の遠征が月に一度になり、滞在が長くなる。その延長に二地域居住があります。移住を最初から勧めるより、通う理由が先にある方が心理的な壁は低くなります。
静岡県は東京から新幹線で1時間ほどの位置にあり、東海道沿線という立地も追い風です。片道の移動負担が小さいため、副業や週末の活動を挟みやすい条件がそろっています。
副業や事業化まで踏み込む難しさ
一方で、課題も明確です。推し活で稼ぐには、グッズ制作、イベント運営、情報発信、宿泊や飲食の提供など、地域の事業者とつなぐ受け皿が要ります。熱心なファンほど、自分の推しを商売に使うことに抵抗を感じる場合もあります。
権利関係も避けて通れません。キャラクターや人物の肖像を使う事業は、権利者の許可が前提です。協議会がこの調整役を担えるかどうかが、実効性を左右するでしょう。
見落とされがちな視点:推しは地域の外にも中にもある
推し活というと、有名アイドルやアニメを想像しがちです。しかし対象は、地域の祭り、地元のサッカーチーム、老舗の職人、さらには土地そのものでも構いません。自治体が外部の人気作品に頼るのではなく、地域の中に推される対象を育てられれば、版権に縛られない息の長い仕組みになります。藤枝市が「地域」を推しの対象に含めている点は、この意味で重要です。成功の鍵は、人気コンテンツを借りることよりも、地元に推したくなる物語をどれだけ用意できるかにあります。
ビジネスへの影響
自治体と企業が最初に確かめるべきこと
企業が地域との連携を考えるなら、最初に見るべきは、参加者にどんな役割を渡せるかです。単なる協賛やイベント出展では、観光誘致と変わりません。副業の受託、商品企画、情報発信の担当など、継続して関われる仕事の形を先に設計すると、関係人口は定着しやすくなります。
首都圏の企業にとっては、社員の副業や地域貢献活動の受け皿として使える可能性もあります。
小さく始めて数字で検証する進め方
大きな投資の前に、少人数で試すのが現実的です。たとえば、月1回の現地活動に10人が参加し、そのうち何人が3か月後も続いているかを測ります。継続率と、現地での消費額、新しく生まれた取引の数が、事業化の判断材料になります。
あわせて、権利者との合意、地元事業者の負担、参加者の安全面は、最初に文書で整理しておくと後の混乱を防げます。
自社の顧客にも応用できる考え方
この発想は自治体だけのものではありません。自社の商品を好きな顧客に、レビュー、試作への参加、地域イベントでの紹介といった役割を任せれば、単なる購入者がファンコミュニティへ育ちます。応援を行動に変える場を用意することが、売上以外の価値を生む近道です。
