推し活カラオケ最前線、JOYSOUND調査から読む「歌える推し」の時代

OSHIKATSU / FIELD NOTE

推し活カラオケ最前線、JOYSOUND調査から読む「歌える推し」の時代

JOYSOUNDが1,414人の調査をもとに公開した『推し活リアル2026』。アニメ・ゲーム好きの歌い方やカラオケでの盛り上がり方から、推し活市場の変化と企業が学べる点を解説します。

ニュースの概要

カラオケ大手のエクシングは、JOYSOUNDの利用者らおよそ1,400人に聞いたアンケートをまとめ、『推し活リアル2026~アニメ・ゲーム編~』を11月4日に公開した。いま支持を集めるアニメ、ゲーム、キャラクター、声優の順位に加え、カラオケでの楽しみ方にも踏み込んでいる。イントロで場が沸く曲、コールアンドレスポンス(=客席と歌い手が掛け声を交わすこと)で盛り上がる曲、アニメに詳しくない人とも歌いやすい曲、最後に歌いたい締めの曲などを取り上げた。推し活が「見る」「集める」だけでなく、「歌って共有する」行為へ広がっていることを示す資料といえる。

引用元: JOYSOUNDが『推し活リアル2026~アニメ・ゲーム編~』を公開(PR TIMES)

分析・見解

推し活は「持つ」から「歌って共有する」へ移っている

推し活と聞くと、グッズや遠征、配信の視聴を思い浮かべる人が多い。だが今回の調査が光を当てたのは、歌うという参加型の楽しみ方である。カラオケは、好きな作品の世界に自分の声で入り込める数少ない場だ。

グッズは棚に並べて眺めるものだが、歌は一緒にいる人と体験を重ねられる。この違いが、カラオケを推し活の受け皿にしている。ライブやイベントに行けない日でも、数百円の部屋代で熱量を発散できる点も大きい。

「イントロ」と「掛け声」が示す盛り上がりの正体

注目したいのは、曲そのものより、イントロとコールアンドレスポンスに着目した点である。ファンは歌詞やメロディだけでなく、曲が始まる一瞬の期待感や、決まった掛け声を重視している。

これは、ライブ文化がカラオケの個室に持ち込まれたとも読める。アイドルやアニメのライブでは、観客の声が演出の一部になる。その作法を、少人数の空間で再現したいという欲求が見えてくる。たとえばボーカロイド曲や人気アニメの主題歌が長く歌われ続けるのは、こうした共有の型を持っているからだろう。

詳しくない人と歌える曲を探す動きが市場を広げる

調査では、アニメに詳しくない人と歌いやすい曲という切り口も扱われた。ここが独自の視点として面白い。推し活は仲間内の閉じた趣味と見られがちだが、実際は職場の同僚や家族、友人と同じ部屋にいる場面が多い。

そこで求められるのは、濃いファン向けの曲ではなく、誰もがサビを知っている入り口の曲だ。ファンが「布教」の道具としてカラオケを使い始めたとも言える。結果として、作品の知名度を広げる役割を、歌が担うことになる。

最後の一曲まで設計する、体験としてのカラオケ

最後に歌いたい曲という項目も見逃せない。最初の一曲、盛り上げの中盤、締めの一曲と、ファンは時間全体を物語のように組み立てている。

これは音楽配信の聴き方とは違う、場の設計である。配信が個人の「聴く」を最適化したのに対し、カラオケは集団の「流れ」を作る。データを持つ事業者は、曲単体の人気順だけでなく、どの場面で選ばれるかという文脈まで把握できる。ここに、次の価値が眠っている。

ビジネスへの影響

曲の人気より「どの場面で歌われるか」を見る

今回の調査は、ランキングよりも利用場面に価値がある。企業が自社の商品やサービスを考えるとき、売れた数だけでなく、いつ、誰と、どんな気分で使われたかを記録する意味を教えてくれる。小売や飲食でも、同じ商品が「手土産」なのか「自分へのご褒美」なのかで、売り方は大きく変わる。

詳しくない人にも開く入り口を用意する

ファン向けの濃い企画だけでは、市場は広がらない。初心者が一緒に楽しめる入り口を作ることが成長の鍵になる。イベントなら、ファンの同伴者向けの簡単な案内や、知識がなくても参加できる体験枠が有効だ。アニメ関連の展示で、作品を知らない来場者向けに一枚の紹介パネルを置くだけでも、滞在時間と満足度は変わる。

参加の型を設計し、熱量を共有できる場を作る

コールアンドレスポンスのように、決まった型があると人は参加しやすい。自社のコミュニティやキャンペーンでも、「この合言葉で投稿する」「この場面でこう反応する」といった型を用意すると、熱量が見える形になる。実務では、顧客データを集める際に購入履歴だけでなく、体験後の感想や共有の仕方まで聞く設計にしたい。次の企画のヒントは、そうした小さな声の中にある。

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